協会の概要

皆さん、日本ビジネスインテリジェンス研究会へようこそ。

中川 十郎 ( なかがわ じゅうろう )

私は33年間の総合商社勤務中、海外に20年間駐在し、60数カ国以上をビジネスで訪問しました。その間、ビジネスインテリジェンス、競合情報を活用し、新規事業、先端技術、新市場の開拓に努力しました。その後、大学教授として20年間にわたり教鞭をとり、ビジネスインテリジェンスと国際ビジネスの研究、教育を行ってきました。国内では愛知学院大学商学部、東京経済大学経営学部・大学院、最近では日本大学国際関係学部、日本大学大学院グローバルビジネス研究科などで、海外では、スウェーデン・ルンド大学大学院、米国コロンビア大学経営大学院、ペース大学大学院、北京対外経済貿易大学大学院、ハルピン工科大学大学院などでビジネスインテリジェンス、グローバルマーケティングなどの講義をしております。
また,日本貿易学会、国際ビジネス学会、桜美林大学北東アジア総合研究所、国際アジア共同体学会、米国SCIP(競争情報専門家協会)などで、ビジネスインテリジェンス、競争情報、国際ビジネスについて多数の講義、講演、論文発表を行っています。さらに、欧米のビジネスインテリジェンス、競合情報、国際貿易、国際マーケティング研究についても、学者のみならず、欧米の企業の情報研究者などとも20年以上の親交があり、彼らの優れた情報研究の著作を翻訳、出版するなど海外の情報研究成果の日本への紹介にも尽力しております。
上記のこれまでの永年の経験から、私は日本における国際ビジネス、ビジネスインテリジェンス、競合情報の研究家の一人と自負しております。日本では企業、研究所、コンサルタント業界においてもビジネスインテリジェンスは欧米に比べ、いまだそれほど関心をもたれておりません。これは、これまで日本の企業は品質が良く、海外での価格競争力もあり、欧米に比べ、ビジネスインテリジェンス、競争情報、競争相手に対する研究の必要性を感じなかったことがその一因と思われます。
そのため、情報担当者が不在という企業も多く、また情報担当者がいても企業での地位が欧米企業に比べて、遥かに低いといえます。したがって、最高情報執行役員(CIO)のいる企業も少なく、日本企業においては情報よりも営業を重視する風土があるのが実情です。また情報収集、活用面におけるモラル、法的認識、社会的責任問題なども、欧米企業に比べて順法精神が高いとは思われません。
しかし、情報は既存のビジネスの深化、拡大、新規ビジネスの開拓に必要なことは勿論、リスク、危機管理、情報の機密保持、技術管理(MOT)、ナレジマネージメントにとってもきわめて重要です。さらに知的所有権(IP)の保護、バイオ、ナノテクといった先端技術研究にも有用です。情報化、国際化、ビジネスのグローバル化が急速に進展しつつある現状下、ビジネスインテリジェンスの重要性はますます高まっており、国際市場で企業の競争優位を保持するためにも必須のツールとなりつつあります。スウェーデン、フランス、英国、米国、カナダ、豪州などの諸国では大学・大学院でビジネスインテリジェンス、競争情報の教育が活発で、情報修士、情報博士課程で徹底した情報教育をおこなっています。またスウェーデン、フランス、米国には情報戦争学校も設立されており、特に2006年9月にベルサイユに創設されたフランスのビジネスインテリジェンス大学院(欧州経済情報大学院)は有名です。これに比し、わが国の大学や大学院ではこのような専門的なビジネスインテリジェンス教育は行われておらず、情報教育に特化した教育機関、研究機関もなく、情報教育で欧米の大学に大きく遅れています。
このような現状を憂い、1992年に日本ビジネスインテリジェンス協会を発足させて以来、本協会の会長として志を同じくする有志と20年にわたり、ビジネスインテリジェンスの研究を行っております。元米国国防次官で、ハーバード大学ケネディスクールの学長も歴任した、ジョセフ・ナイ氏は米国は”核の傘”戦略から”情報の傘”戦略への転換とソフトパワーの必要性を強調しています。わが日本としても、急速に進展する情報社会、インターネット、クラウド社会、サイバー空間社会、知識社会、ソフト社会に備えるため、情報の研究を急ぐべきです。前述どおり、世界が激動しつつある21世紀に氾濫する情報を正しく選別、評価、分析し、正確に未来を見通し、的確な未来戦略を確立できる真の情報力を高めることが今ほど要請されている時はありません。
かかる状況下、本協会はビジネス情報研究活動をさらに強化し、企業と、更には日本の競争力の構築に寄与したいと念願しています。